料理とワインのマリアージュを探求する際に重要なこと
料理とワインのマリアージュを探求する際に重要なことは、料理人への尊敬心とワインにたいする愛(ワイン愛)であると私が考えています。
これは<料理とワインのマリアージュ>という課題に立ち向かうときの姿勢であり倫理的な構えであると私は考えています。
私は無類のワイン好きですし、どうしてもワインを中心に物事を考えてしまう傾向にあります。しかし、料理とはひとつの完成された作品であり、個性を持った存在であります。それゆえに、<料理とワインのマリアージュ>を探求する場合に、食の道を極める料理人の胸を借りて追及していくというやり方が私にはしっくりくるのです。
ワインはさまざまな情報を纏った商品
ワインは、さまざまな情報を纏った商品であります。しかし、私はこの情報をすべてはぎ取って、液体としてのワインに相対します。ですから、「ワインとは何か?と定義せよ」と言われたら、私は、「ワインとは目の前にグラスに注がれた液体である」と答えます。
この目の前にある液体と料理と間にある、視覚的・嗅覚的・味覚的な関係性をそれらが表現する美的調和の世界で探求することが私にとっての<料理とワインのマリアージュ>の探求なのです。
したがって、以下の記述におて登場するワインについて、銘柄、葡萄品種、生産地域、生産者などの商品情報を記載しますが、<料理とワインのマリアージュ>にとっては、あくまでのワインの風味が第一に重要であることをあらかじめ確認させていただきます。
2016年4月29日に最初に訪問
初めて徳山鮓のなれ鮓を食し、その品格、透明感に驚きました
この時は、参加メンバーの持ち寄りワインだったので、私は、2014年 マルサネ ルージュ エ・シェゾー( ジャン・フルニエ)他を持ち込みました。
なれ鮓には、参加者が持ち込んだ 2002 サンロマン・ブラン・コンブ・バザン (シャソルネイ)を合わせました。
2014年 Marsannay Rouge Es Chezots(マルサネ ルージュ エ・シェゾー)生産者:Jean Fournier (ジャン・フルニエ )
2002年Saint-Romain Blanc "Combe Bazin"(サンロマン・ブラン・コンブ・バザン)生産者:Domaine de Chassorney (メーヌ・ド・シャソルネイ)
2006年12月14日、第2回目の訪問時
なれ鮓に合わせるために二つのワインを用意しました
(1)2014年 Alsace Chasselas Vieilles Vignes(アルザス シャスラ ヴィエイユ・ヴィーニュ)生産者: ショフィット (Schoffit)
(2)2014年 Bourgogne Rouge(ブルゴーニュ・ルージュ)
合わせるポイントは、料理とワインが持つ色合いです
第1感=直観的には、1)シャスラーを色合いから合わせました。なれ鮓とシャスラーに私は透明感のある白い色調(少しグリーンのかかた)を感じます。
(補注)色合いとは、視覚的な意味の色ではなく、料理やワインの個性を表現する際に用いる言葉です)
マリアージュを考える際の主な要素は、乳酸発酵系の酸味、旨味、透明度、それに色あいですが、第1感=直観的には、(1)シャスラーを色合いから合わせました。
シャスラがなれ鮓に良く調和しました
ユベールリニエに関しては、のちに、2014年 Chambolle Musigny Les bussieres(シャンボール・ミュジニー レ・ブシエール)生産者: ユベール・リニエ (Hubert Lignier)が最上のマリアージュを表現することになるのですが、この時点では、その可能性は見いだせずにいました。
この段階では、なれ鮓に関する<料理とワインのマリアージュ>の探求の第一歩にすぎませんでした。
次の段階では、プネ・シャルドネのシャンパーニュが素晴らし世界を切り開いてくれました。
(つづく)