素晴らしきワインへの旅 - Voyage au vin merveilleux

素晴らしいワインとの出会いは、私たちの人生のなかでひとつの宝とも思える至福の時間を約束します。 このブログは、これらのワインの探求と出会いの記録です。

ワイン専門平野弥ワイン教室を振り返って(1)

ワイン専門平野弥で1997年前ら、お客様を対象にブラインド(目隠し)によるワインテイスティング講座を開催してきました。この講座は、私にとってワインを探求し理解を深める重要な過程でした。
最近、当時の生徒さん(Mさん)から私のワインのコメントで理解できない部分があると言われたことがあります。
このことをきっかけに、過去から現在に至る探求の過程で、修正したり深化してきたことが多くあることに気づかされました。
そこで、できる限り過去を振り返りつつ、現時点でのワインテイスティングに関する考え方を明らかにして行きたいと考えています。
内容的には、系統的ではなく、そのつどのテーマで書いてゆきたいと考えております。

・ある生徒さんから

ワイン専門平野弥ワイン教室の最初のころにワインの北(冷涼な栽培地域)と南(温暖な栽培地域)の産地違いを比較するというテーマでブラインド(目隠し)テイスティングを行いました。
例えば白ワインであれば、北=例えばドイツの白と南=例えばイタリアの白を比較すると、北のワインは、酸味が鋭角的で、南のワインの酸は、厚みがあり丸みがあることが分かります。
これは、ワインの主要な酸であるりんご酸と酒石酸の比率の違いに起因します。このテーマの目的は、北(冷涼な栽培地域)に行けば行くほど、葡萄果汁に含まれるりんご酸の比率が高く、南(温暖な栽培地域)に行けば行くほど、酒石酸がりんご酸よりも多いという事実を味覚においてとらえワインの風味の違いと理解するというものでした。
このような理論化の仕方、酸味の違いによる北と南のワインの風味の違いという考え方(テーゼ)は、今日でも間違っていません。
しかし、このようなテーゼを適用して私は、ブルゴーニュの村の個性をとらようとしていました。当時は、まだ、テロワールという概念もミネラルという言葉も十分に理解していませんでした。
ブルゴーニュの村の個性をどのようにとらえるのかという問題に関して、以前に私が教えていた<北と南の酸味の違い>というテーゼを適用した説明とは、今日、大きく内容が異なってしまっています。
このことが原因で、当時の生徒さん(Mさん)から私のワインのコメントで理解できない部分があると言われたのでした。


(つづく)