素晴らしきワインへの旅 - Voyage au vin merveilleux

素晴らしいワインとの出会いは、私たちの人生のなかでひとつの宝とも思える至福の時間を約束します。 このブログは、これらのワインの探求と出会いの記録です。

ワインテイスティングについて ワイン専門平野弥ワイン教室を振り返って(3)

【1】ワインテイスティングにおいて味覚を表現する際に使う言葉の定義
1)ワインの味覚における酸味の意味とは?
酸味は、ワインの風味にたいして気品を与える要素です。いいかえるならば、私たちが品のあるワインと表現するワインの味覚における根拠は酸味にあります。
2)ワインの味わいの骨格と表現する要素は、酸味と渋味です。これは、ワインの主要な味覚の要素、すなわち甘味(果実味と表現することもある)と渋味、酸味のバランスを考える時、甘味(=果実味)が弱く、酸味と渋味が強いワインをCharpente(骨ばった)ワインと表現することを考えると容易に理解できます。
3)酸味と渋味がワインの骨格を形成するとしたら、甘味は、どのような働きをするだろうか?
骨格にたいしてあるのはボディー(体)です。ここからワインのボディーは、甘味(=果実味)により形成される、といえます。*1
4)ワインの風味を表現する際に使われる「スタイル」とは、論理的な概念から言えば<形式>にあたります。この<形式>とは、常に<内容>と規定しあい、<形式>の無い<内容>は無く、反対に<内容>の無い<形式>は存在しません。したがって、ワインの風味の表現における「スタイル」(=<形式>)とは、酸味、甘味(=果実味)、渋味の味覚の要素(=<内容>)がどのように現れているのかを表現しています。例えば、「スタイリッシュなワイン」といった場合には、洗練された酸味(酸味は気品の根拠)が基礎となり、甘さ(=果実味)と渋味が中庸にバランスをとっている様を表現しています。
(つづく)

*1:ここでは、ワインの主要な三つの味覚の要素のみ問題にしているため、ボディー=甘味と定義していますが、実際のワインのボディーを形成する要素には、アルコールが大きく寄与しています。また、フル・ボディーという言葉は、渋味の要素も加わります。甘さ(=果実味)、アルコール、渋味の強いワインを「フル・ボディーなワイン」と表現します。